山行日 | 2018年5月3日(金)~5(土) |
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山名・山域・県名 | 甲斐駒ヶ岳:南アルプス黒戸尾根 |
形態 | 春山合宿、日本三大急登踏破 |
コース |
[3日] |
メンバー | 6人(男性3人、女性3人) |
天気 | 晴 |
交通手段 | 車 |
装備 | テント泊基本装備 |
入浴 | 尾白の湯 https://onsen.nifty.com/yatsugatake-yamanashi-onsen/onsen008704/ |
「日本三大急登」
①ブナ立尾根(烏帽子岳/北アルプス)標高差1558m(七倉山荘~)
②西黒尾根(谷川岳)標高差1195m(谷川岳ロープウェイ~)
③黒戸尾根(甲斐駒ヶ岳/南アルプス)竹宇駒ヶ岳神社より驚異の標高差約2200m!
「日本百名山」の深田久弥氏もがこの黒戸尾根のことを「日本アルプスで一番きついルート」と言っていた。そんなルートに私は手を挙げてしまった。
一泊2日で登るとはいえ、テント泊装備でテント場まであがるのも私にとっては大きな課題。
とにかく、黒戸尾根を登るために年が明けてからは毎週の様に山に登った。そのおかげか、なんとかフラフラになりながらも山頂に立つことができた。
雨の荒島岳も高度感のある岩場の伊勢山上も階段だらけのダイトレも青葉山もその他全ての山行が甲斐駒ケ岳の山頂に続いていたんだということを、私は感じた。
アスレチック感満載の岩場のコースも、テント泊装備になった途端、恐怖が増してきた。
アイゼンをはいた雪上歩行も重い荷物では更に慎重になり、終始神経が張りつめた山行だった。
一歩油断して踏み外せば天国への山行となりそうな場所だらけ。でも、無事下山できた今、私のゴールドメダルとなった山。
今年の目標は、テント泊装備での登山。マイテントを背負って山に登ろう!
(M岡)
今年も合宿に参加させていただけました。長い黒戸尾根をテント泊装備で7時間歩く。歩けるのか?歩けるように、それまでに出来る事をする。
お誘いいただけた山行には極力参加、六甲縦走大会で長い距離を歩き、悪天候の荒島岳を歩き、定例の金剛山では歩荷で参加させていただきました。
山行中は、クサリやハシゴの連続で、荷物は重いは緊張はするはでしたが、観える景色がやはりいつも歩く里山とは違い、壮大で美しく、しんどい事も忘れました。
テントの夜は唸る強風に不安が募り眠れませんでしたが、翌朝は風も少し収まり、甲斐駒ブルーの青い空の下、山頂にたどり着けた時は嬉しかったです。
山頂から観た北岳が美しく、次はその頂に行きたいと、しんどかったことも忘れて想いました。
しんどかった事は忘れても、この山に、一人で登ったのではない事、皆で歩いたから行けた山、そのことは、忘れてはいけないと思いました。
(M本)
いつか登りたいと思っていた甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根に行くチャンスが巡ってきた。本企画に参加しませんか?と、Y里さんに誘われるまま、二つ返事で意思を固める。
①山行前
とはいうものの、装備を担いで標高差2200mのロングコースを歩けるのだろうか?にわかに不安もよぎる。GW前半には想定装備で茨城県の低山縦走コースを8時間歩いてみた。
明らかに『やばい』。CT以内で歩けない!ご一緒いただいたメンバーの背中をはるか遠くに見ながらの苦しい歩荷訓練。やばい!急遽、もう一度歩荷訓練を重ね、GW後半に。
今さら体力の心配をしても始まらないので、せめて万全な体調で挑むため、前泊のお宿に早めの当宿。天候や山の様子、気温などをリーダーに伝えて、早々に就寝。翌日に備える。
事前の情報収集では危険箇所は1ヶ所と分析。鎖場やはしご等の難所もあるが、人工物がある箇所は何とかなるはず。それよりも、複数回の滑落事故が発生している場所がどのようなものかが気がかり。
(結果的に、危険個所と思われた場所は雪がついていなかったため、少々登りにくい岩場に過ぎず、拍子抜けであったが・・)
②山行中
心配された天候であったが、2日間ともに晴天に恵まれ、気持ちいい山歩き。新緑が美しく山の中を歩くこと自体が心地いい。高度を上げることで、鳳凰三山の稜線が見え、振り返ると八ヶ岳連峰、山頂からは雪を被った北岳、間の岳、北沢峠を挟んで仙丈が見える。2年前の同じくGWに仙丈から甲斐駒を眺めていた自分を思い出す。鋸岳への稜線が続く。このルートを歩ける力があれば楽しいだろうなあと妄想しながらも、登ってきたルートを引き返す。ていねいに!一歩づつ!と気をつけながら着実にゴールを目指すが、長い!次第に疲労が増していく中、『無心』になりながら両肢を動かす。もっと体力をつけないと、と思いがました下山道であった。
③山行後
今回の企画を振り返る。
真っ先に感じたことは、自身の体力レベル。普段からもっと負荷をかけながら歩かないと、今回のような企画に参加できなくなる。頑張らないとという思い。
共同装備をいかに軽くするか?最新の用具に更新することで軽量化、救急装備などの共有の厳格化、フリーズドライ食品などの活用での軽量化などをメモレベルでご意見として記す。
(勝手なこと申してすみません。)
④最後に
本企画を実施する上で、計画、準備、実行、装備メンテまで、リーダーY里さんをはじめ、メンバーの皆様に大変お世話になりました。関東からの参加で、満足にお手伝いもできず、
参加しただけとなり心苦しい限りですが、素晴らしい山行の想い出ができ、深く感謝申し上げます。この場を借りて御礼申し上げます。
(A田)
初めての南アルプス。アイゼンとピッケルの練習もして参加。甲斐駒ヶ岳黒戸尾根,ネットで見ると鎖やはしごがたくさん。
はしごや鎖があるから安心!という情報ばかり。
3日夜中,八ヶ岳山麓の道の駅でテント泊。風の音がすごく,テントにまわりの椅子などがとんでくるんではないか,というくらいの風。翌日,快晴ではあるが,
山頂付近では,強風であろうという予報。
とりあえず行けるところまで行くという共通理解のもと出発。黒戸尾根は梯子や鎖場の連続。一つクリアしてほっとしていたら,また現れる梯子。
斜度もシャレにならない。岩にかかった梯子は下を見ると絶壁。
これって落ちたらサヨナラ~ですよね。ボディブローのように効いてくる連続する梯子。それにつり橋。このつり橋,やる気あるんですかっていう感じの橋。
ロープが片側に一本だけ,下はふか~い谷。そしてテン場まであと少しのところに,チョーおそろしい核心部が。梯子を登ったら,即鎖。その鎖,下を見てはいけません。
でも見てしまいました。なんとかクリア。ようやく七丈小屋。翌日の下山のことも頭によぎりながら,やはりここは一度ビールでけじめを。ビールを注文して,衝撃。
ここからテン場まで,梯子ありますと,小屋のお姉さん。えっ。まだありますか。なんなんですか.ここ。さらに着雪しているため,滑る。
夜中もフライが飛んでいくのでは,という位の風が吹きつける。今まで必死で登った梯子と鎖,帰るためには,明日下りますよね。下りのほうがおそろしいんですけど。
翌朝,七丈小屋から山頂めざして歩き始める。
1時間くらい歩いたところで,自分は皆さんを見送り,そこにとどまることにする。ゆきえさんから借りたツエルトにくるまり,皆が戻るのを2時間半ほどまつ。
時折ふきつける強風に心が折れがち。それに,皆が山頂へ向かった岩壁の別の斜面からは,ひっきりなしに落石。岩が谷底に落ちていく音が山にひびきわたる。
すごい速さで雲が流れていく。ツエルトの中で,クマってこの標高までくるのかな~。本当に皆無事で戻るのかなあ~と。
それにこんなところでツエルトかぶって座っている人間を見たら,怪しまれる!と。人の足音らしい音が聞こえたらツエルトから顔を出し,わたし,5人の仲間を待ってるんです。
だから怪しいものではないんです。と自ら話しかけるのを繰り返した。3・4回繰り返したかな。ようやく5人が手をふる姿が!
今回の経験で自分の足りないところがわかった気がする。体力,気持ち(目的意識やチャレンジ精神),技術や知識,装備,経験など,登頂するためには,たくさんの要素が必要で,
それらの中の一つがものすごく欠けていたら達成できない。そう考えると,自分のことがよく見える気がしてくる。もう少しのところで,行かない!
という決断をした自分は甲斐駒ヶ岳黒戸尾根に負けた気がして正直悔しいけれど,その経験から学ぶべきこともたくさんあった。
ツエルトをかぶって眺めていた南アルプスの山々の頂は,白く輝いていて,やっぱり美しかった。次の山は,ちゃんと登頂したいな~と強く思った。
下山途中に見た鳳凰三山や富士山は気高かった。
下山したとたん,駐車場がみつからない,温泉が見つからないと道がわからなくなるというはりつめた緊張感から抜け出した皆の姿にほっとした。
春合宿で自分の目的は残念ながら達成できなかったけれど,人がする経験で無駄なことは一つもないと考えると,参加してよかった。
今回も計画から京都帰着までたくさんお世話になったゼニーツのみなさんに感謝します。
(S古)
合宿とは、少し背伸びをする山行だと私は教わって来た。 この機会に、なにかしらの挑戦をしてみるのだ。
ただそれは出たとこ勝負、行き当たりばったりの行動ではなく、その為の訓練や計画的な準備が伴わなければ意味がない。
つまり、出来得る限りの練習をして、未体験ゾーンに踏み込んでみる。そこに意志と体力と時間とお金を掛ける。
合宿の骨格は、そういうことで生成されているのではないか。
今回のメンバーは、誰もが合宿に登る階段を自分自身で設定して、それを自分で昇って行って、手応え足応えを感じ、
それでも不安一杯の中で臨んだ甲斐駒ヶ岳:黒戸尾根であった。
充分に登り応えはあったであろう。あの長大で息の抜けない難路で2200mの標高差を消化しなければならないのだから。
天気に恵まれたとはいえ、最後まで集中力を切らさずに無事に歩き切り下山できたことは、即、皆大きな収穫を手にしたということ。
ホッとして、じわりじわりと喜びが湧き上がって来る。
(雅)
当初、天気予報では山行中に天気が崩れ5日のアタック時に強風の予報。小屋の方も台風ですが大丈夫ですか?と心配されていた。
メンバーも不安を感じて躊躇されている。
5日の天候次第では無理をしないという条件で入山し取りあえず七丈小屋を目指した。
小屋に到着し受け付け時に小屋番の方と話をすると、天気予報程の強風は吹いてない。この日も沢山の人が山頂に行っているようだった。
翌日、核心部で強風に吹かれたらという心配はあったが結果的には、風も少なく今年の春合宿も昨年同様運よく好天候に恵まれた。
安全登山を考えると山に臆病になる事も登山者の心得だが、そこから一歩踏み出す為に忍耐力の強化を図り、恐怖を克服した登頂も修練の一つである。
しかし、登山の何よりの喜びは無事に登頂し、無事に下山することにある。
今は、ほっと安堵の胸をなでおろす思いと同時に目的を踏破し、無事に下山出来た事に感謝している。