山行日 2014年1月5日(日)
山名・山域・県名 伊吹山(1,377m)
目的 2014年の会の初山行、アイゼン歩行訓練
コース :6:55八条口発=京都東IC=米原IC=R21=県19号=8:40登山口前個人駐車
場着(500円)、9:10出発…9:45一合目(トイレ)…10:35三合目(東屋)…11:05五合目(ベ
ンチ)アイゼン装着…ひたすら直登…13:05伊吹山頂(日本武尊)…13:15△一等三角
点、小屋の間で昼休憩<30分>…13:45下山開始、アイゼン下降組+尻セード組…14:25
六合目避難小屋…15:45駐車場着=米原IC=16:40多賀SA“レストイン多賀”入浴500
円=京都南IC=18:25JR西大路駅前
メンバー CL:雅、Y里sy、О西、S藤
天気 晴れ
交通手段
装備 日帰り冬装備、12本爪アイゼン、ピッケル、尻ソリ
入浴 レストイン多賀

新人О氏の初めて迎える積雪期である。

山屋にとっての“季節”には、二通りある。一般的な“春夏秋冬の四季”と、雪があるかないか“積雪期、無雪期の二季?”である。四季の差には、味わいが違う、といった含みがあるが、無雪積雪のそれは、対処と気構えの違いである。つまり道具が 重要な意味を持つ。

彼が積雪期用の靴と12本爪アイゼンを買ったぞ、という情報はすぐに入って来る。
とにかく気合が入っている。道具も一通り持っていて、何度も何度もだらしなく冬期を過ごしている苔むした私にとっては一陣の新鮮な息吹である。

 軽登山靴から重登山靴に履き替え、雪を踏みしめた時のあの期待溢れる感覚。その靴にワカンを付け新雪のフカフカをラッセルした時の開拓感と苦しさ。さらにアイゼ ンが靴底にカシャーン!と装着され、その爪が堅い雪面にズッカズカと突き刺さる時 の安定感。 目の前に新しい世界が広がった思いがしたのは、もうふた昔以上前のことか。

“雪山に登りたい!”というО氏の意欲に突き動かされ、私も思い切って新しいアイゼンを買ってしまった。20年以上やっていてやっと二台目かい!との誹りを甘んじて受け、この日に臨んだ。すると偶然にも同じメーカーの同じタイプの物だったので、一緒や一緒や、と喜んだ。初心に帰るのに丁度良い。

彼はsyunさんと年末に大日ヶ岳に入り、新靴馴らしとワカン歩きは体験したものの、雪の状況でアイゼンを履くまでには至らなかった。ゼニーツとしての初山行を初体験者、新品試着者を含めた男子4名のアイゼン歩行訓練とした。

伊吹山には何度も来ているが、ゴンドラがなくなってから来るのは初めてで、下から登るのは夜間登山以来ではないかと思う。それでも人は多い。天気は申し分のない晴れ。泥濘の登り出しが次第に凍て着いた道となり、二合目辺りから白くなり出した。syunさんによると、去年より雪は少ないらしい。

 靴で雪の上を歩くのも基本の技術なので、暫くはゴム底とストックで登る。そして五合目のベンチでアイゼンを装着。一緒や一緒や。そして手にはピッケル。

 この日は少しだけでも山岳会らしい事をする日で、アイゼン歩行の基本を真剣にО氏に伝える。ピタリと付いて歩いて細かなポイントを指摘しようかと思ったのだが、急な直登にこっちは早々とバテてしまい、相手はスタコラさっさと登って行く。こんな筈ではなかった。3人に吹きさらしの頂上肩で待ってもらって、やっとのこと合流する。頂上は相変わらず風を避ける所がない。猛烈な風が吹きつけた証拠が、日本武尊の石像に貼り付いたエビの尻尾として残っている。展望は極上。360度の大パノラマを舐めまわす。休憩中も極端に寒い。ポットの紅茶をポタっとこぼし、一、二口飲
んでから見るとそれがもう凍っている。

 下山は二組に分かれた。その為に来た、と言っても過言ではない尻セード組。尻滑りしたい気持ちを抑え込んで、敢えて今日だけはアイゼンで一歩ずつ下る組。山岳会としては、滑落停止を教えずに、最初から自由滑走を許す訳にはゆかない。おおっ、何と真面目な会なのだろう。真面目ついでに、最後は土が現れるギリギリまでアイゼンを履いて歩いた。

 参加者のみんな、特にОさん、お疲れ様でした。買った道具は使わな損、損。また行きましょう。

※ 最近は“アイゼン”を英語の“クランポン”と書物等で表示してあるのが目立つ。私は頭が古く、“クランポン”よりも“アイゼン”と言う言葉の響きの方が、爪がガシっと雪面に喰い込んでいる感じがして、ここでは“アイゼン”を使った。  
                                              ( 雅  記 )

 京都ゼニーツクラブに入会して、初めての冬を迎えたO西です。
少年期に、暗くなるまで霜焼けをこさえながら遊んだ故郷の雪山(動物の罠にも掛った)と、青年期に読んだ、新田次郎著「八甲田山死の彷徨」から受けた恐怖は、身近だった山々が見せる表裏する姿が印象的で、私が山に向うきっかけの一つになっていると思います。と言う事で、雪山は待ちに待った山行でした。
12月22日、好天に恵まれた大日ヶ岳の雪山デビューでは、新雪でのワカンジキを初体験。
今回の伊吹山では、いよいよ、アイゼンとピッケルを初体験しました。用途は知識として知っていたものの、体験しなければ分からなかった事ばかり。
会長の丁寧なレクチャーを受けながら一通りの訓練を繰り返し、満足で充実の一日でした。これがクラブの良いところ。入会させてもらって良かったと実感。
ピーカンの好天で、「八甲田山死の彷徨」体験など微塵も感じないまま迎えた頂上での昼食では、こぼれたホットコ―ヒーが一瞬に凍る寒風が吹きつける極寒の世界。
昼食のおにぎりは冷え、時間を置くと凍りつきそう。お湯で温めないと、口も容易に動かない始末。初めて「八甲田山死の彷徨」をプチ体験できて満足でした。
寒さのあまり、頂上で厚着したままの下りでは、滑落防止のピッケルワークの訓練を入念に体験し、下山した頃には汗だくでした。レイヤリングも今後の課題と思い知らされました。
これからも経験を積み、安全で楽しい雪山山行を楽しみたいと思います。そうそう、雪焼けによりゴーグルのあとで狸顔での仕事初めになりました。日焼け止めも忘れずに。
                              
                                                (O西 記)


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