山行日 | 2019年8月11日(日)~14日(水) |
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山名・山域・県名 | 白峰三山縦走 |
目的 | テント泊縦走 |
コース |
8月11日(日) 8月12日(月) 8月13日(火) 8月14日(水) |
メンバー | 9人(男性4人、女性5人) |
天気 | 11日晴れ、12日晴れガス、13日曇のち雨、14日雨のち曇り |
交通手段 | 車2台 |
装備 | テント泊装備 |
入浴 | 奈良田温泉 |
≪広河原から出発≫
広河原の一番奥にテントを張り夕食。歯磨きしながら見上げれば、所狭しの星、星、星。膝の不安から参加表明をぎりぎりまで迷ったけど来れて良かった。
翌日、暗いうちから歩き出す。負担がかからないよういつもより小股で歩くことを意識した。
左手でザーザー音のする豊富な谷川を向くと上から桂の木の丸―い葉っぱの陰が暖簾のように続く。
すっかり夜が明けて分岐へ到着。休憩していたオーストラリア人の親子から、意外にもオーストラリアにはこんなに大きな山はないと聞いた。日本って地形的にもホントに面白い。
ちょっと進んだだけで息が切れてしまうけど、遠くの稜線の素晴らしさに元気づけられた。さっきは見えなかった鳳凰三山のオベリスクが、目線の高度が上がったことでいつの間にか見えている。時折上がってくる天然のミストがひんやりして有難い。
急登を登り切り、小太郎尾根分岐に到着すると、仙丈ケ岳がばーんと現れた。昨年は雲に隠れていた甲斐駒も今回は山容を拝ませて貰えた。いつか登りたい山の一つ。
≪北岳で見た≫
下山の人がすれ違いざま田中陽希さんが来ますよ、と教えてくださった。先方の岩の上にそれらしい人影が。。。岩場を一生懸命よじ登って近寄ったけど、顔が違った。後から知ったけど有名な登山家の人だった。田中陽希さんじゃなくてガッカリする私に「この後に良いことありますよ」と言って下さった。今度会ったら握手してもらおう。
本物の田中陽希さんは、呼び止めた私たち一人ひとりに親切にしっかり握手して下さった。
肩ノ小屋で飲み物を補給したら北岳まであと少し。ハイマツ地帯を歩いていると雷鳥3羽がすぐそこに次々現れて、私たちに構うことなく砂浴びをしている。
北岳、全員無事に登頂達成出来たことが嬉しかった。
≪テント泊≫
また雷鳥のかわいい道案内を受けて北岳山荘へ。先陣が一等地にテントを張って下さっていた。雲が少し出て来たけど、富士山とその上に光る月のコンビネーションは最高の風情。
真夜中は強風にテントを揺らされてちょっと怖かったが、隣の人らがフライの紐を張り直して下さってたとは。。。全然知らずに寝ていました。今後パタパタする音に注意を向けるようにします。
≪農鳥小屋で休憩≫
翌日、朝日を浴びて歩き出した。左には富士山。右手には中央アルプスがくっきり見えた。
まずは中白根山のピークへ。それから小さなピークを越えて間ノ岳。ミストをいっぱいつけたチングルマの綿毛がキラキラ光るだだっ広い尾根を、「ノウトリ」のペンキの文字に導かれて農鳥小屋へ到着。本格的に雨が降り出したので休憩所で休ませて貰えて本当に助かった。記念に農鳥小屋の手ぬぐいを買ったら空中トイレも見ておこう。農鳥小屋は白根三山縦走に欠かせないオアシスだと思った。
元気復活した体で西農鳥から農鳥岳へ。三座達成。
≪長い下山≫
分岐で鐘を鳴らし、大門沢へ曲がる。急な長い下りだった。膝に優しくストックで支えながら下る。やっと沢が見えるところまで来た。汗びっしょりで、このまま沢に飛び込みたかったが、あいにく水を触れるほど道が沢へ近寄らなかった。大門沢小屋の屋根が見えるまで長くて苦しかったけれど、先陣の方のお蔭でテントは今夜も一等地。すぐ横の水場で顔をジャブジャブ洗って生き返った。
最終日の下山は雨。濡れた岩に四苦八苦。腕も足も筋肉痛で前の人と差に焦ったら当然コケた。そんな私を見兼ねてすぐ前に立ってペースを作って頂いたお蔭で何とか怪我なく林道までたどり着くことができた。
奈良田温泉女帝の湯は、ヒノキ風呂でお湯はかけ流しのトロトロ。この気持ち良さを味わいに、また行きたいと思った。
≪最後に≫
この合宿を計画下さったリーダー、安全運転して下さった皆様、おいしい食事を準備下さった皆様、先陣し一等地テントを張って下さった皆様に本当に感謝しています。そして、皆さんから山でいろいろなことを教えていただきました。本当にありがとうございました。
また来年もどうか懲りずに連れて行ってください。
(U谷)
≪天空の診療所≫
北岳と中白峰の鞍部にある北岳山荘に、昭和大学医学部の方達により、夏季シーズン中だけ診療所が開設されている。この事を知ったのは、今回まさしく自分が体調を崩し、お世話になったからだ。
北岳山荘到着時に、後頭部に鈍痛、呼吸がしにくく息が荒い、手先がしびれる、寒気、吐き気、強烈な眠気と、もう、喋るのも億劫な倦怠感があった。テントで少し休ませてもらう事にして、とりあえず着替え、ブドウ糖と水分を取り、防寒具を着込み、手持ちの薬を飲み、息が整うのを静かに座って待った。その間に、心配してくれたメンバーが診療所の方を連れてきてくれた。昨日、ここに交代のために登って来たと言った、インターンの女の子二人に、脈と、熱と、血圧を計り、昨日からの行動、摂取した飲食物、睡眠時間、過去このような事はあったか、等、細かく問診を受ける。そうこうしているうちに、息も落ち着いてきたので、診療所に移動して先生の診察を受けた。聴診器をあててもらって、喉をみて、先の問診を聞いて、先生は高山病と診断された。今夜一日ここで泊まったら、身体も慣れ、明日には楽になりますよ、飲んでもらったお薬も効いているようですので、こちらからは出しませんね。と言っていただき、少し安心する。薬で吐き気も治まり、食欲もあったので、しっかり食べ、しっかり寝て、翌朝には随分と楽になった。出発時、会長に着いてきていただいて、挨拶をしに診療所の扉を叩く。出てきた二人は、早朝にもかかわらず、笑顔で送り出してくれた。彼女達も、ここまで来るのに、歩いて来たと、昨日話してくれた。慣れない環境で、自身の体調管理も大変だろうにと、感謝の気持ちでいっぱいになった。診察料は無料、保険証も要らない、と言う事だった。寄付金で、まかなっているそうだ。標高2900mの、天空の診療所での貴重な体験でした。
(M本)
≪白峰三山テント泊縦走夏山合宿に参加して≫
白峰三山テント泊縦走夏山合宿に参加した。合宿参加は2回目、北岳も一度登ったことがあった。7月定例の歩荷訓練を兼ねた赤兎山行も参加した。
自分では、そんなに苦労することもなく歩けると思っていた。ところが、どっこい今までの山活の中で、一番のしんどい山行となった。
今回、食当の係もすることとなった。昨年、先輩の方々が黙々と頑張ってされていたので、2回目の今回は、自分も是非させていただかなくてはと思い引き受けた。
それがなかなか自分には、プレッシャーになった。まずメニューが決まらなかった。また、メンバー9人がどれだけ食べるのか総量が分かりにくかった。普段の食事作りとはだいぶかけ離れていた。憧れの北岳山荘テント場は、2900m。御飯は上手く炊けない、またそこまで食材を担ぎ上げなくてはならないので、軽くかさばらない物で考える。ご飯は&米の白ご飯。メニューは水をあまり使わないビーフンがいいのでは?とリーダーから教えていただいた。生野菜、生肉は2日目の食事なので、避けること。肉はコンビーフに決めた。野菜は重いので乾燥野菜を早速作り始める。1010gあった重さが3日干したらだいたい3分の1になる予定が、この夏の猛暑で、なんと、70gになった。よし上手くいったと思ったのが大間違い!野菜の水分がなくなりすぎては、ビーフンが蒸すことができずビーフンが固いままで食べることができない。なんぼ軽くてもバリバリで食べられないのではしょうがないので、半量は腐りにくい人参やピーマン、ネギ、キャベツを持っていくこととした。ところが、この生野菜がザックの重さをどっしりと重くすることとなり、山行のトラブルの原因の一つとなった。
北岳の登山口、広河原。朝4:00。会長が先頭に立たれ登り始める。ゆっくりゆっくり登って行かれる。テント泊装備、食材を持っても登っていけるかなと思っていたが、だんだんザックの重さがキツくなる。今年の7月の梅雨の長雨で、蒸し暑い猛暑の中で練習ができていない。また、広河原テント場の睡眠不足がジワリと身体の変調をきたしてきた。いつも少しぐらいの睡眠不足でもなんとか歩ききれるのだが、今日はなんかフラフラする。頭がボォーとした感じ、あれっ?身体が熱くなってきた。しんどい?吐き気を催す。脚が攣りそう。水分不足だからと頑張って水と塩分を摂る。それでもメンバーの足取りと差が出てくるので、荷物もメンバーに分けて持っていただくことに。それでも、なんとか遅れてでも登っていけると思っていた。でも、それは甘かった。樹林帯を抜けると日差しがきつくなった。ヤバイ!身体が火照る。また吐き気が!さっき無理矢理飲んだ水分も塩分ももどしてしまう。ほんとにしんどくなった!会長がテント泊装備、共同装備のうえに自分のザックまで持ってくださった。ほんとに申し訳ないと思いながら、歩いていると、会長が大きな岩の陰に入るように教えてくださった。日陰の岩の冷たさが火照った身体を冷やしてくれた。しばらくひんやり冷えた岩にしがみついていた。
荷物の負荷を取っていただいたことと身体を岩で冷やしたとこで、身体がスッーと平常に戻るように落ち着きを取り戻していった。
その時、なんと、あの百名山一筆書きの田中陽希さんが北岳から下りて来られた。思わず手を出し、握手をしてもらう!
ほんとにパワーがある感じの大きな方だった。
荷物の負荷をなくしてもらったことと岩の日陰で身体を冷やしたことと田中陽希さんと握手してもらったことと肩の小屋が見えてきたことで、落ち込んでいた気持ちも身体も少しずつ元気がでてきた。
軽くしてもらった荷物をもう一度背負いなおして、肩の小屋に着いた。水分補給をしたくなった。何だったら身体が受けつけてくれるのだろうと悩んで、なっちゃんのりんごジュース500mlを買って飲んだ。600円!いいお値段!でも、それが身体に沁みていくようのに入っていった。少し元気が出てきた。北岳山頂に着いた。荷物を持ってもらったメンバーに御礼を言って、少しずつ自分の荷物をザックに戻す。ザックの負荷を取っていただいたことで、元気が少しでてきました。また、ザックを担ぐ元気がでてきました。ありがとうございました。
憧れの北岳山荘テント場に着いた。初の食当。メンバーの皆さんに手伝って貰ってなんとか食事!ほっとした。
頭の中で考えたことを実践!することがどれだけ貴重なことなのか!自分は無駄なことをいっぱい考え、していたことがよく分かった!
もっとスリムに!食材!パック!器具!ゴミ!
間ノ岳、農鳥岳縦走の2日目。何とか自分のテント泊装備の荷物を背負って歩く。途中、身体がほてるとしんどくなるが、何とか大門沢小屋まで辿りつく。
最終日、後は800m下って、奈良田の第1発電所のバス停まで歩く。お願いして共同装備のテントのフライを持たして貰う。雨に濡れたフライは重たかった。テントの本体を担いだらどれだけ重いのだろう。
はじめの1〜2時間ぐらいは、楽だったが、やはり、だんだんジワリジワリと肩に食い込み、下山にともなって、気温が上がると、息が上がり、汗が噴き出す。身体が火照るとしんどくなってくる。
うん?これはやっぱり準備不足、練習不足!体力不足!先輩方は凄い!
メンバーは3日間この重い共同装備を担いでくれたんだなぁと思う。その上、初日は体調を崩した自分の荷物も背負ってくれたことに心から感謝する。
荷物の一つ一つを吟味して、無駄なものを持たない大切さを思い知る。会長やリーダーが荷物を軽くするよう何度も繰り返し注意される意味がよくわかった。
少しの野菜ぐらいなら担げるだろう、という甘い考えが、とんでもないトラブルのはじまりだった。
ビニール1枚、ゴミ一つ。持ち物、物の重さ、自分で管理して持つ意味が分かった。身に染みた。
体調を崩して、メンバーに助けて貰って山行を終えた今、改めてまた、練習山行を繰り返し、来年も新しいステージに立つ努力を続けることができたら嬉しいなぁと思う。
仲間や家族に感謝して。
(Y野)