山行日 2022年8月27日(土)〜8月28日(日)前夜初
山名・山域・県名

富士山(▲3776.12m)、静岡県、山梨県

目的 個人山行、日本一の山に御殿場ルートで登る。
形態 前夜初、山小屋泊山行
コース

1日目:御殿場口新五合目登山口(1440m)4:45→大石茶屋5:00→次郎坊-新六合目(2590m)半蔵坊9:05- 六合目(2830m) 10:35-七合目(3040m)11:45 – 七合目五勺(3110m)12:00砂走館宿泊

2日目:砂走館6:05- 宝永山(m)6:45- 大砂走り下山道 -大石茶屋8:20 – 御殿場口新五合目登山口

メンバー 6人
天気

1日目:晴れのち曇り
2日目:雨

交通手段 自家用車
装備 山小屋泊装備、雨対策、防寒対策、砂塵対策、スパッツ、携帯トイレ、ツエルト、エマージェンシーシート、ヘッドランプ、予備の電池など
入浴

富士山エコトピアふじかぐやの湯 700円/大人1人

 

 富士山は見る山だと聞くけれど、それでも一生に一度くらいは登ってみようと思い個人山行で企画した。それでもなるべく人の少ないルート、そして下山に大砂走りを歩いてみたいと思い御殿場ルートに挑戦することにした。初日、砂走館で宿泊するといえ標高1440mの登山口から砂走館のある七合目五勺の標高3110mまで1700m近く歩いて標高をあげる必要がある。また途中高山病が発症する可能性もある。途中山小屋は半蔵坊だけなので、万が一の場合に備えてツエルトやエマージェンシーシートをメンバーには持参してもらった。
 早朝、御殿場口駐車場に到着するとすでに第2駐車場は満車で第3駐車場に車を駐車した。第1駐車場はバス等専用のため自家用車は駐車できない。到着後は仮眠無しでまだ暗い中ヘッデンをつけながら各自朝食をとったり、登山準備を始めた。第1駐車場に登山口とトイレがある。登山口では協力金1000円を支払った。協力金はいくらでも良いらしいが1000円支払うと記念の缶バッジがもらえた。そこで体温チェックを行い、入山可能者は青いテープをザックに巻いた。(遊園地のフリーパスのようなテープ)
ちょうど大石茶屋に着いた頃だんだんと東の空が赤くなってきた。雲が多く残念ながら御来光は拝めなかったが1日の始まりだ。朝日に照らされながら段々と明るくなる登山道の先に薄暗い富士山は聳えていた。目指す山頂まではっきりと見える。まだ暗い中ヘッデンの明かりが富士山の装飾のように見えた。
 御殿場ルートは大石茶屋から先樹林帯は一切なし。大きな砂の山を登っていく感じだ。三つルートがあり、登山道、下山道、ブルドーザー道。それぞれのルートは所々で交差する。交差する際間違って他のルートに入り込まないように気を付ける必要がある。ブルドーザー道はブルドーザーが走るので砂が固く踏み固まっているが、登山道の砂はやわらかい。砂丘を登るとまでは行かないが、砂に足を取られる。雪山歩きに慣れているメンバーはキックステップで登って行けるが、普通に歩くだけでは登るたびに足が滑るので前へ進むのも大変だ。ただ、登山道上にはたまに大きな石が転がっている程度で倒木もなければ、木の根っこや水溜りもない。ただただ無心になって頂上を目指すのみ。気温はそれほど暑くないが、日差しがきつい。風が山頂から吹き付ける。風にのって砂塵が舞うので砂埃が目に入る。新六号目の半蔵坊小屋が始終彼方に見えている。歩いても歩いても近づかない。約4時間程かけてようやく半蔵坊小屋に到着した。ここでお手洗いに行ったり、行動食を摂ったりしばし休憩をとる。そこから3時間程かけてようやく砂走館に到着した。ちょうどお昼12時だった。深夜1時に出発する旨をメンバー伝えて、そこまでは各自自由に過ごした。
 砂走館は本日満杯。ツアー登山客も含めて80名の予約が入っているそうだ。半畳分くらいが自分のスペース。隣とは上半身のみ感染対策としてパーテーションで区切られている。まるで蚕棚のような作りになっている。 

 深夜0時に目を覚まして、暗い山小屋の中で静かに身支度を整えた。天気を確認しに戸外へ出るとそこは深い霧と闇に包まれていた。雨こそは降っていないが、露で体が濡れる。霧は濃く深く、ヘッデンの明かりさえ吸い込んでいく。数歩先が全く見えない。出発の1時になったがこの状態で山頂へ向かうのは厳しいとの判断で、もう1時間出発を遅らせることにした。2時の時点で再度判断をすることに。それでも、強者やツアー登山客たちは雨具を着て山頂に出発して行った。2時になったのでもう一度戸外へ出て天気を確かめた。霧こそ少しは薄くなっていたが、雨が降り出しており、山小屋の前はそう風は強くなかったものの、頭上では風がゴーゴーと音を立てて唸っていた。雨に濡れて、強風に拭き晒されながら往復4時間歩くのはもう修行でしかない。恐らくご来光も見えない。ここまで来て残念ではあるが日本一の山頂は諦めることにした。
 二度寝しようと布団の中に入った。2時半頃また山小屋の中が騒がしくなった。1時に出発したツアー登山客たちが一斉に戻ってきた。ちょうど私の隣の寝床の方がそのうちの1人だったので様子を聞いてみると、八合目付近までなんとか登って行ったが雨と強風でそれ以上は登れないと判断して撤退してきたらしい。無理して行かなくてよかった〜と心から思った。

 小雨のうちに下山してしまおうということで、朝食を済ませて雨具を着て朝6時に下山を開始した。途中せっかくなので宝永山にも寄ってみたが視界はなし。下山の大砂走りは足に優しい。砂浜のような下山道を真っ直ぐに下りていく。気がつくと昨日休憩した半蔵坊の小屋が既に後ろに見えている。何も考えずにただひたすら下るだけ。面白いほど下れる。気がつくと大石茶屋まで来ていた。まだ8時。昨日7時間余りかけて登った道を2時間程で下ってしまった。大砂走り面白い。癖になりそうだ。

 残念ながら今回は山頂を踏むことはできなかったが、あの長い御殿場ルートと楽しい大砂走りの下山を経験することができた。山頂はまた来年リベンジすることにした。


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