山行日 2008年10月10日(金)~13日(月)
山名・山域・県名 空木岳(2,864m)・南駒ヶ岳(2,841m)越百山(2,613m)
目的 伊那側、木曽側どちらから登っても容易に立てない稜線へ立つ
コース

 [10日] 京都→伊奈川ダム

[11日] 伊奈川ダム→越百小屋→越百山→仙涯嶺→南駒ヶ岳→擂鉢窪避難小屋

[12日] 擂鉢窪避難小屋→空木岳→木曽殿山荘→金沢土場→伊奈川ダム

[13 日] 南木曽岳

メンバー K村(単独)
天気 晴れ
交通手段
装備 避難小屋泊装備
入浴 民宿

 10 日 20 時 30 分京都を出発。中津川 IC で降り、R19 を北上ナビの案内に従って伊奈川ダム林道に入り、0:00 前に登山口着。早々にテントを設営し眠りにつく。

 翌 11 日 5:00 頃 目をさますと外は小雨。当初の計画と逆コースをとり、今日は越百小屋の隣の越百避難小屋に泊まることに計画を変更。
それであればそんなに急ぐこともなく、ゆっくりテントを撤収していると、マイクロバス 2 台の 20 人ほどの団体が着く。いやな予感をしたが、この団体とは越百小屋まで抜きつ抜かれつの行程であった。樹林の中を 5 時間、12 時過ぎに越百小屋に着いたが、避難小屋がわからない。越百小屋のオヤジに避難小屋の場所を訊くと「避難小屋などない」とのこと。宿泊を申し込むと「今日は満員でダメダメ」との山小屋の使命を忘れたようなそっけない返答。すぐに到着した団体には「荷物はこちらにおいて、ぬれたものはこちら・・・」と手のひらを返したような応対にあっけにとられ、これ以上交渉する気になれず地図を広げた。ここから擂鉢窪避難小屋までさらに 5 時間を要することから、気持ちを入れ直すのは難しいが先に行くことを決断。最悪の場合、ツエルト・寝袋もある。
早々に昼食を済ませ出発。越百山に着く前から青空になり、山頂では大パノラマが待っていた。行く手に仙涯嶺が斜光を浴びて巨大なシルエットとなり、驚くべき高度感と急傾斜で見るものを圧迫する。さらにその奥には南駒ヶ岳が俊立しており、まだあそこまでいかなければならないのか思うと気が遠くなりそうであった。すでに疲れがきているので、事故を起こさぬよう注意をしていかなければならない。ガレ場のアップダウンを繰り返し南駒ヶ岳に着いたのは 17:00 を少し回り、自身の影は長く伸び、沈み行く太陽が山々を赤く染め上げていた。山頂を跡にし、擂鉢窪避難小屋にはヘッドランプの灯りを頼りに18:00 前にたどり着いた。小屋には単独行の男性と、小屋の中でテントを張っていた 2 名の男性の 3 人の先客がいた。夕食を済ませ、持参した焼酎で疲れを癒し、寝袋にもぐりこむと、普段感じたことのない疲れが両足に襲ってきた。

 12 日も快晴で、6:08 小屋を出発。カールが燃え上がるような黄金色に染めぬかれており、稜線に飛び出すと、凛とした空気が頬を刺し、どこまでも澄み通った青空に御岳山が屹立しているではないか。呆然としたが、すぐにシャッターを切った。ここから空木岳までは朝の清涼な空気を吸いながら快適な稜線散歩。空木岳手前で反対方向から 20 名ほどの団体が登ってくるのが見え、山頂で一緒になってしまった。山頂でゆっくり時間をとっていると、団体も立ち去り、静寂が戻り、ゆっくりしたい気持ちにあきらめもつかないが、今日は帰らなければならない。

木曽殿山荘に向け険しい岩場を慎重に下り、木曽殿山荘で昨日飲めなかったビールで一人乾杯した。

 すぐの義仲の力水に立ち寄り、岩から染み出る水を口に含むと冷たく甘かった。ここからシラビソの樹林帯に入った。静かだ。行き交う登山者はかき消したように見えなくなった。

ひたすら樹林を下り、15:20 駐車着。予定より 1 日早く下山したことから、今日は旅館にでも宿泊し、明日に南木曽岳に登ろうと思い立った。観光協会に電話をするが、三連休でどこも一杯とのことであったが、「ひょっとしてここなら空いているかもしれません」と教えられた民宿に電話をすると老夫婦が出て、「爺さんや、何か泊まるって言っとるで」と電話の奥から聞こえてくる。「時間も遅く素泊まりなら」ということで OK となった。食事をすませ、ナビに民宿の電話番号をセットするとどんどん山の中に入っていく。「3 年ぶりの客じゃ」と言われたらどうしようかとか、ビールが置いてあるだろうかなどと、心配しながらたどり着いた民宿は山の中であったがサービスもよく快適でした。

 翌日は、薄暗いうちに民宿をたち、南木曽登山口へ、思っていた以上に険しい山で山頂付近からは、中央アルプスの連嶺が巨大なうねりとなって見通すことができ、昨日その稜線にいたことが遥か昔のようにも思われた。南木曽岳の赤く色づいたナナカマドに忍び寄る山の秋を感じた。

 10:54 に下山し、妻籠宿を見学し、中身の濃い山旅も終え自宅に着いたのは 16:30 でした。

 今回の山行きは事前の情報収集の重要性を思い知らされ、結果的に無事下山できましたが、体調を崩せばどうなっていたかわからない行程で反省点も多くありました。
しかし、それにもまして、天候に恵まれ下山してからも余韻のある山でした。

         


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