山行日 2016年8月6日(土)
山名・山域・県名 裏比良 蓬莱山南西面
形態 沢登り (初級コース)
コース 8:15 下坂下バス停付近駐車 – 8:30入渓 – 14:00 遡行打ち切り
-小女郎池の手前でサカ谷道へ抜け下山 – 16:30 坂下バス停付近駐車場
メンバー 7人(男性5人、女性2人)
天気 曇り
交通手段
装備 沢登り基本装備
入浴 なし

 今回の沢登りは、元々、7月9日で計画するも、大雨警報が出る荒天に見舞われ、前夜に急遽中止にした企画の再計画である。
7月9日とはうって変わって快晴。京都市内の最高気温は37.9℃を記録する猛暑日となったが、沢登り中は肌寒ささえ感じる快適さだった。水量は少な目。倒木や流木で沢が荒れる様なこともなく、遡行の難易度が上がる要素はない。裏比良の深い森林が直射日光を遮り薄暗い。所々に陽光が差し込んで幻想的で、空気まで緑色になった様に、目の前が緑一色に感じる。ロープワークの練習も交えながら、快適な沢登りが楽しめた。沢登り初体験のM岡さんからも「沢登りは、すごく楽しかった。」と感想を頂き、企画して良かったと思いました。
 しかし、S籐さんが落石で手の指を怪我され、止血,テーピングをしての遡行となってしまいました。また、予定の行程時間を5時間もオーバーしてしまい、参加メンバーには計画面で迷惑を掛けることとなった。留守本部のY里さんにも心配をお掛けしてしまった。遡行に時間を要したのと、道迷いがあった。ヘッドライトを頼りに、皆で協力して下山することができましたが、もし、更なる道迷いや、動けない人がでていたら、山岳遭難事故と紙一重であったと思います。やはり沢登りは危険がいっぱいです。万全の準備で望む必要があると感じた遡行でした。
 今回、安全登山について考える機会になりました。山行を終えて、参加メンバーから、様々な振り返りのコメントが寄せられたので、一部引用させて頂きながら、この貴重な経験を振り返り、報告したいと思います。

○事前準備(計画:ルート選定)
4月9日のヒノコ小屋で企画が立ち上がり、ヘク谷前提で計画を進めた。その後、沢登りに対して、体力と技術に差のあるメンバーが集まったので、林道が沢と並走していて、途中で遡行を打ち切ることが可能な、白滝谷に変更すべきか思案したが、結局、ヘク谷で立ち上げた企画だし、沢登りコース紹介本で、遡行グレード1級(最も易しい),総合グレード初級と評価されており、遡行時間も2.5時間~3時間で、下山は小女郎池から1時間40分と紹介されており、体力と技術に差のあるメンバーが集まっても、8時間もあれば問題なく全行程を消化できると考え、コース変更はしなかった。結果的に、想定外の遡行時間(遡行7時間30分・道迷い1時間30分・下山3時間30分)を要し、挽回策のないまま時間が失われていった。想定が甘く、参加メンバーに合わせてコースを柔軟に変更すべきだったと後悔した。

○事前準備(計画:調査)
事前の読図,コースの調査不足があった。
遡行打ち切り後は、小女郎池まで行かずにサカ谷道へのエスケープルートをとる予定であったが、ルートが分からず道迷いをして、結局、小女郎池を経由することになった。
 いくつものヤマレコ情報があるけれど、このエスケープルートを使った記録はゼロで、みんな小女郎池に突き上げている。不思議と思わなかった意識の低さが悔やまれる。エスケープに関する考え方をしっかり持つことが重要。

○現場での判断
遡行打ち切り地点を誤った。
予定の沢より一本東の沢に入ってしまった。現在地の特定が曖昧で、サカ谷道へ抜ける際の道迷いの原因になった。高度情報、ヘク谷に入る支流沢の存在、方角の確認などを要所要所でやるべきだった。

○体力
参加する側は、計画に対する適応能力,当日の体調等をセルフコントロールし、決して無理な参加をしない勇気と見極めが必要。当然、日々の体力強化・維持に努める。
企画する側は、より自身のレベル向上ができる計画をするでけでなく、メンバーの体力と技術の差を踏まえ、出来るだけ皆にいろいろな事を経験してもらえる様な企画・計画もする。実行する際は、参加メンバーでカバーし合う。

○安全登山の3要素(式で表すと)
安全力 = 準備力(知識、天気等情報、地図、体調、装備など)+ 現場での判断力(経験、パーティとしての力)+ 体力
・この式で、心がけで安全力を高めることができる要素が準備力である。体力や判断力はすぐには高まらないが、準備はやる気さえあればある程度できるはず。
・結局は、現場での対応が事を決めるので、経験と技術に裏打ちされた判断力を養い、計画とその実行に反映する。

○その他
怪我に対する備え
真水のペットボトルと共に、小さい穴を開けたペットボトルの蓋を用意しておく。
小さい穴のあいたペットボトルの蓋だと、圧力をかけることができ、また少量の水で傷口洗浄ができる。怪我直後の消毒が有効。

いろいろ反省点はあるけれど、今後、安全な登山を継続するために考える事は、無駄にはならないと思います。
失敗をバネに、もっといろいろな山に行ってみたい。

 

 

 

 

 


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